③会社を作りたい

外国籍の方の日本法人(株式会社等)の設立には以下の注意が必要です。

会社設立の際には、資本金の払い込みが必要です。しかし2012年7月9日に外国人登録証の制度が廃止され、短期滞在の外国人にはカードが発行されなくなりました。その弊害として住所の特定が不可能となり資本金を振込む金融機関口座の開設が出来なくなりました。短期滞在の外国人が単独で一人会社を設立することは事実上不可能となりました。
しかし、法改正により、入国後に会社設立登記を行う機会を与えると言う観点から経営管理ビザに在留期限4ヶ月が新たに設けられました。(申請者本人または代理人が日本で定款の認証手続きを行い、その定款を添付して経営管理ビザ(4ヶ月)を取得する。
これにより経営管理ビザの保有者として日本に入国すると在留カードが取得できるため、住所の特定が可能になり銀行口座を開設することが可能になります。)
上記の事より、株式会社を設立する場合、代表取締役のうち1名は、絶対要件として日本に住所を有しなければなりません。
取締役全員が海外に住んでいるような場合は日本で株式会社等の法人を設立することはできません。
※上記は一般的なノウハウです。当事務所では多数の経験実績からその他の設立方法のノウハウも有しております。ご相談ください。

◆設立手順
1.株式会社の基本的事項の決定
会社の商号、本店所在地、会社定款の目的、資本金、役員の決定及び個人実印の印鑑証明書の取得
ポイントは、類似商号調査、法に則した事業目的の決定、在留資格変更等が予定される場合はそれに則した要件の決定など。

2.会社代表者印の作成
※海外に居住する外国人の方を出資者及び取締役とする場合、本国官憲の証明する印鑑及び印鑑証明(日本語訳付)
または、本国官憲の証明するサイン証明(日本語訳付)が必要になります。

3.株式会社の定款作成及び認証
公証役場にて定款の打合せ及び認証作業

4.資本金の払込みを行う
資本金の払い込みは、発起人(出資者の)の個人口座に振込みます。
注意事項は、法で定められた振込要件(払込日付)があります。
ポイントとしては、資本金(出資金)を海外送金する場合、各国の規制等(外貨管理の関連法令)がありますので注意が必要です。

5.各種書類の記名押印

6.設立登記申請
本店所在地の管轄法務局へ登記申請します。
会社の設立に関しては、設立後に行われる業務内容それに関連する入管法を精査し登記を行なえば設立は可能です。
しかし問題は会社の経営者としての在留資格「投資経営」に変更する場合です。会社が設立できれば自動的に在留資格が付与されるわけではありません。

注:この法人設立からの在留資格取得は非常に難易度の高い業務です。
願わくばこの業務を専門に扱う「入管法」の専門家に設立から在留資格取得までご依頼することをお勧めします。
法人は設立できても肝心の在留資格が取得できなければ救済方法が限られます。

※経営管理ビザ参照
入管法改正 「経営管理ビザ」について
今回の入管法改正では在留資格「経営管理」(経営管理ビザ)を設け、会社の経営管理をする外国人にはこのビザを与えることとし、従来の制度の不備を改善する趣旨となりました。

以下、経営・管理の在留資格に該当する活動
①新規法人の設立し役員として経営に参画
②既存の法人の役員として経営に参画(事業譲渡も含む)

出資金500万円について
以前の投資経営ビザの場合、申請者の出資金500万円の要件がありました(常勤雇用者2人を採用できない場合)が、
今回改正された経営管理ビザでもビジネスの規模を測る「ものさし」として同様の要件となります。

※資本金500万円以上というのはあくまで最低基準ですので、行う事業によっては、事業の安定性・継続性を考えるとさらなる出資の必要も出てきます。
また、常勤者1名を確保できている場合、出資金は半分の250万円で良いのかと言う考えですが、入国管理局が事業の内容・経営規模からして明らかに常勤雇用者1名と250万円の資本では足りないと判断され場合、在留資格の不交付の裁可が多分に考えられますので注意が必要です。

※出資金500万円の形成について(出何処の立証)
出資金について、どのように形成準備されたものかという立証する必要が生じます。
この出資金は必ずしも自己資金(自分の貯金)である必要はなく、借りたお金でも可能です。
500万円の出資金の調達方法に関しては、入国管理局審査官の重点チェック項目です。
しっかりとした立証書類を提出する必要があります。

以下、通常考えられる出資金形成立証書類
①自己資金の場合    預金通帳、給与明細、送金記録等
②借入金の場合     金銭消費貸借契約書(要収入印紙)、返済計画書等
③親族からの贈与の場合 戸籍謄本、贈与税確定申告書、送金記録